StarShootPro(SSP)

 

OrionのStarShootProは非常に良いCCDカメラです。冷却能力と機能に不満はありますが、コストパフォーマンスは抜群の機材でしょう。ただしUSB転送関係のトラブルが結構多いので、ケーブルは低ノイズで出来るだけ短い物を使用してカメラとパソコンのUSBポートを直結するようにしています。それでも私の場合は転送ノイズが1枚に2,3か所でてしまいます。これをそのままコンポジットしてしまうと4枚で10か所程度不自然なゲジゲジ模様が出てしまいます。
そこで、このノイズを除去するソフトを自作して昨年から使用していたのですが、今回フリーソフトとして公開しました。

SSPユーザーの皆様の作品作りに役立てていただければ幸いです。 (2009.8.5)

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約1.5MB

Ver1.4に更新しました
(2010.4.4)

2009.8.4

SSPから撮像データをパソコンに転送するときに出現する8ビット程度のノイズを除去するソフトを公開します。原理については我流処理Nベイヤー配列をご参照下さい。

LZH形式でフォルダーを圧縮してありますので、解凍して中の「SSPノイズ除去」というファイルを実行して下さい。開発はXP SP3で行っています。それ以外のOSについては、全く未知の領域で動作の保証はしかねます。

解凍用のソフトをお持ちでない方は、こちら辺りから

大丈夫だと思いますが、ランタイムライブラリーを要求された場合は、Vecterのここに最新版がありますのでダウンロードして下さい。

使用方法は、ノイズ除去を行うファイルを選択し(複数選択可能)、実行ボタンを押すだけです。SSPから転送された画像処理前のファイルを処理して下さい。元ファイルは書き換えませんので、トラブルがあっても画像を失うことはありませんが、念のためバックアップをとってから実行して下さい。システムにも因りますがファイル1つに数秒かかります。基本的に途中終了は出来ません。処理時間の殆どはバイナリファイルの読み書きなので、途中でやめない方が良いです。

進行状況は、選択したフォルダーに処理済みのファイルが"_R"を末尾に付けて形成されるので分かると思います。終了するとメッセージがでます。超不親切なソフトですが、転送ノイズはなくなります。

運良く使えた場合も、使えなかった場合も、メールでお知らせいただければ幸いです。

なお、このソフトによって生じるいかなるトラブルについても責任を負うことは出来ませんので、ご了承下さい。

   Ver.1.2
 バイナリファイルの読み書きを、配列で一括処理する方法を思い出しました。処理速度が40倍になりました。

Ver.1.3
 画像の上下端にノイズがあるとエラーがでるバグを修正しました。
 Formのタイトルバーにバージョン番号を表示しました。

Ver.1.4
最新のサービスパックで再構築してみました。

Windows7でも何とか動いたようです。



10min*6+2min*4
このM42をみると、直焦点撮影をやったことのある方なら、「どんな機材で撮影したのか?」と
興味を持たれると思います。

Borg 125SD
Orion StarShootPro(SSP) 露出時間は10分×6、合計60分です。

両方ともあまり作品が出回っていない機材です。特にSSPはまだフォトコンにも載っていないのではないでしょうか。
(私は投稿しませんが、そのうち誰かがやってくれると期待しています。)
今年は冷却改造一眼がブレイクして、最近では20万を切ったX2改造機が旬のようです。私も冷却改造を心待ちにしていたのですが、ひょんな事からSSPに心変わりしてしまいました。

結果、大変満足しているので、冷却改造一眼の購入を検討されている方々に、別の選択肢としてSSPをご紹介しようと思います。
来春にはラージフォーマットの新機種も噂されていますが・・・。
多分、SSPの購入をためらっている方があげる理由の1番は、

CCDの温度をコントロールするどころか、モニターすることさえ出来ない、という点だと思います。

おそらく冷却CCDを使っている方からすれば、そんなカメラはあり得ないよ!と感じられる欠点だと思います。ところが私の様な一眼デジカメユーザーとしては、最後にダークを撮影すれば良いだけで、今までと何も変わらない、のです。確かにコントローラーが付いていれば、ダークライブラリーという便利なものを作ることが出来て、貴重な遠征で星以外の物を撮影する無駄な時間を節約できます。
私の場合、あまり几帳面ではないので、気温が0度に近いこの頃ではダーク画像は使い回しです。むしろCCDでのピント合わせが楽になった分、1時間ほど撮影準備の時間を節約できるようになりました。最近の一眼にはライブビューが付いていますが、明るい星しか使えないんですよね。

10min*12
カラーCCDは感度が低い

どうせ冷却CCDを買うなら、モノクロだよ!・・・確かにその通りですが、感度に関してはLPS-V3を装着して10分×12 合計2時間でこれくらいは写ります。この日は最初と最後の重ね合わせで0.3pixelしかずれていなかったので30分4枚でもいけたと思います。どんな風に写ったでしょうね(ちょっと脱線しました)。L画像にナローバンドを使った作品のようなキレはありませんが、淡い網の広がりは2時間にしては表現できている方だと思います。コストパフォーマンスは抜群です。
 他には自分の撮影機材がモノクロCCDを宝の持ち腐れにしない性能があるかという点と、お財布あるいは大蔵大臣と相談だと思います。

さて、ちょっとはSSPに興味が湧いたでしょうか?

Focus

0.1秒程度で撮影した画像から、ちょうど良い明るさの恒星を四角で囲んでFocusモードで露出を開始すると、連続して露出を開始します。その部分だけ転送されるので軽快に画像が切り替わります。実際に撮影しているときにはCameraControlにMaxPixelが表示されるので、それを参考にすれば数分でピントを合わせられます。ロボフォーカスのような自動化も可能でしょうが、私は屈折望遠鏡とカラーCCの組み合わせなので、それほどシビアに考えていません。
Borgレデューサとの組み合わせ

Borgレデューサは一眼レフカメラで使うことを前提としているため、カメラアダプタを含め55mmの光路長で使うようになっています。SSPはM42ネジからCCD表面まで18mmということになっていますから、残り37mmは自分で何とかしなければなりません。2インチ接続も可能ですが、私はねじ込みで接続していますから、まず42mmP0.75からBorgM57に変換しなければなりません。私は手持ちパーツでこんな物をつくって使用しています。0.5mm足りない分はプラ板でスペーサーを自作してはめ込んであります。

左の図で下の2つが苦し紛れの接続ですが、偶然にもかなり良い長さになったので参考までに載せておきます。
@52mm>49mmフィルター変換リング
AVixen間接撮影アダプタの1部(49mmのフィルターネジが切ってある)

F4DGにはカメラ回転装置が付いているので回転装置が2つになってしまいます

追加:
SSPとBorgレデューサとの接続アダプタは三ツ星さんから、三脚ホルダー付きのカメラアダプターは光映舎さんから発売されたようです。
星像、偽色、ハロ、ゴースト

右下以外、Borg125SD+SSPで撮影した画像です。ダーク・フラット補正後、コンポジットしてSI6でデジタル現像、カブリ補正を行っただけの画像です。私の感覚ではEOSkissDX改(SeoSP2)にLPS-V3のFFフィルターを付けて撮影していたときより、ゴーストやハロは少なく画像処理がとても楽でした。特に左上のクラゲ星雲はゴーストやハロが出やすい対象ですが、今回はあまり感じませんでした。
ところが、同じSSPを使い始めたハイアマチュアの方のブログでゴーストが酷いためにフィルター交換を検討しているとの報告もあり、少々意外で撮影データ等を比較させて頂きました。素人考えですが露出時間が30から40分程度ということが大いに関係していると感じました。私は30分露出して星が丸いなんて事はあまり無いので(さすがに周囲の星が回転しているような事は最近無いですが)、歩留まりの都合上、短時間露出を多数枚コンポジットしているので気にならないだけかも知れません。ハイアマチュアには、また次元の違う問題が生じるものだと感じて大いに勉強になりました。

左上のM33ですが、何となく星が赤いです。左は別の画像ですが、等倍で見ると恒星がこんな風に写ってしまうことがあります。これはレデューサのCCDの距離が0.5mmずれていたときの画像で、星像も悪く非常に極端な例ですが、時々このようになってしまいます。上のM33の場合も同日撮影した他の画像では殆ど気にならないので、原因はちょっと分かりません。
星の牧場のよっちゃんさんの「星マスク」を使うと簡単に目立たなく出来るので、私はあまり深刻に考えていません。出たときには画像処理で何とかすればよいと思えない方には、大きな問題になるかも知れません。
赤外カットフィルターの結露

おそらく何らかの結露防止策をとっているようなので、中心部から結露します。鏡筒に結露を生じない日は心配する必要ないと思いますが、鏡筒から滴が垂れるような日は注意が必要です。乾燥空気が一般的ですが、シリカゲルを準備したり、なかなか面倒なので私はレンズのヒーターを使って、アダプター部分をわずかに加熱して回避しています。


10min.*8
SSPは気温が低いと非常にノイズが少なく、周囲の淡いガスを無理なく表現できます。左上の背景が破綻している!?これはV3の色かぶりが上手く処理できなくて・・・そのうち直します。


10min.*4


20min.*2
肝心なSSPの感度について

10min.*8
CanonEOSkissDX(SeoSP2)
ISO1600
60ED+DGT(F3.9)
LPS-P2フィルター
同じ赤道儀に同架して撮影した2枚のSh2-129です。画像処理は2枚ともできる限り赤い部分を表現するようにしています。2枚の撮影条件を比較すると、
DXはP2フィルタF3.9なので、V3F4.3のSSPと比較した場合、明らかに明るい設定となっています。P2とV3の適正露出は2倍程度V3が長いとも言われていますが、赤い部分に関しての透過性はあまり変わらないのではないかと思います。
10min.*8
StarShootPro(SSP)
77EDU+BorgF4DG(F4.3)
LPS-V3フィルター
まず背景について見ると、DXは銀河の微光星や暗黒帯も充分に露光していますが、V3を使ったSSPでは背景は暗めで、代わりにごく淡いガスが広範囲に広がっています(ほんとかよ!)。しかし、赤い星雲部分は両者の写りにほとんど差はないような感じがします。背景の赤いガスの表現が異なりますが星雲部分は色調が異なるだけで写り込みはほとんど同じようにみえます。

上の2枚の画像を比較して、星雲部分の写りにあまり違いを感じませんでした。背景部分の写り込みはP2フィルターを使用したDXが良いですが、その分赤い星雲は微光星に埋もれるような感じに仕上がっています。V3を使用したSSPでは背景が暗くP2では分からなかったガスの広がりがおぼろげながら見えています。画像処理の過程においてもSSPの写りは、DXをISO1600で使用した場合と比較して、ほとんど変わらないような気がします。ISO400からISO800相当と感じてらっしゃる方もいるようなので、これはあくまで自分の作例で見た限りの感想です。

 そもそもデジタルカメラのISOっていったい何なのでしょう。冷却CCDには全くそのような設定は無いので、CCD本来が持っている機械的な設定では無いのですよね。16bitのCCD情報をフィルム時代の感度表示に合わせてレベル調整しているだけのようにも感じられますが、生画像といわれるRAWでもISOの影響を受けているので、もっと根源的な設定なんですね。冷却改造一眼のユーサーがあえて低感度で長時間露出するのはクオリティーを上げるためと言われていますが、冷却CCDではどうすればよいのでしょう?CCDの本には1分10枚コンポジットより10分1枚の方がクオリティーが高くなると解説されています。実際ハイアマチュアの方にお聞きしたところ、冷却効果で露出時間にかかわらずノイズ量が一定ならば、16bitフルに露光してやることでノイズのレベルを相対的に下げることができるのだそうです。私は20分までしか露出したことはありませんが、効果を実感できなかったので今のところ10分露出で頑張っています。その上左の等倍画像に示すように、20分だと星が丸くなりません。新しいプレートができたら、 さらに長時間にも挑戦してみようと思います。

ハロやゴーストが出やすいプレアデスは11月1日に77EDU+F4DG+LPS-V3で10分4枚だけ撮影しました。さすがにV3で40分の画像をここまで持ち上げると、背景が荒いですね。

V3はプレアデスに不向きなフィルターですが、この日は赤い物がメインだったので付けっぱなしで撮影し、案の定写りが良くないので没にしてました。今回、ハロとゴースト確認のために処理してみました。明るい恒星周囲のマスク処理は極力控えたので、恒星周囲は飽和しています。ハロとかゴーストは気になりますが、EOSで撮影したときと大差ないように感じます。やはり露出時間なのでしょうか?この画像ではむしろ、恒星の周囲が赤くなっているのが気になります・・・。

追加:
三ツ星さんでは交換用のゴーストレスフィルターの発売予定があるようです。三ツ星さんの作例では明るい星にくっきりゴーストが出ています。左のまゆ星雲の20分画像に認められる星像の肥大化も、このフィルターが原因なんでしょうかね?とりあえずチャンスがあればプレアデスかM42を30分露出してみようと思います(でもこの時期新潟は晴れないんですよね・・・)。