H恒星の色

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私はLPS-V3を使うと黄色が上手く表現できず、苦労しています。下のシャボン玉星雲はノーフィルターで撮影したのですが、上の画像が中途半端な画像処理で恒星の色が無くなっています。きちんと処理すると恒星の色がしっかりと現れます。



 
 ガイドもピントも甘く、よい作例ではないのですが、恒星の色が抜けていたので使います。
上のシャボン玉星雲は下と比較して恒星色が白いです。微光星の大きさは同程度ですが、明るい恒星の周囲に縁取りもできています。
2つの画像処理で最も異なっているのが星マスクの大きさと範囲です。

同じ部分の星マスクを示します。上は手抜きでマスクを作っただけでほとんど調整していません。下はマスクを恒星を十分黒くした上で縁取りができなくなるまでガウスぼかしで移行的にしてあります。

 恒星の縁取りはともかく、どうしてこれだけで恒星色が無くなってしまうのか分からないと思います。その理由は、下のような星マスクをぼかして反転したマスクで恒星の滲みを除去しているからです。これは画像全体のレベルを上げると、星マスク周囲で恒星の滲みが強調されてしまうのを改善するために行う処理です。このとき星マスクが甘いと恒星自体の色も抜けてしまう副作用が出てしまいます。

実際の調整レイヤーは、Gのカリフォルニア星雲に示す星の滲みのマスクを参考にして下さい。この構造を見ると、色が抜ける理由が分かると思います。まず一番上のレイヤーグループのマスクに星マスク、その下にもう1つグループを作り、滲み処理の範囲を限定し、その中に色相・彩度の調整レイヤーを作ります。ここに上の画像に示す星マスクをぼかして反転したマスクをを付けて彩度と明度を下げると恒星とその周囲の滲みが調整できます。このとき1番上の星マスクがしっかりしていると恒星本体に、この調整レイヤーの効果が及ばないという仕組みです。
 ちなみに、この処理でレンズの色収差による青滲みも軽減することができます。

 この一連の処理において、元画像の恒星を加工する事は目的ではありません。元画像の恒星をそのまま維持し、画像全体のレベルを上げるための物なので、元画像の恒星はあらかじめ適正な光度に調整しておく必要がありますし、ピンぼけ画像の恒星を小さくすることもできません。
言い換えれば、普通の画像処理では恒星が飽和してしまう所までレベルを上げた画像を元画像として、さらにレベルを上げる処理ということです。

実際にはそれぞれの画像によってマスクのバランスは異なるので、この例が全てに共通して有効なわけではなく、画像ごとに適正なバランスと組み合わせを見つけ出すための試行錯誤は必要です。フォトショップでは実際の画像を見ながらマスクのレベルを調整できるので、それほど難しい処理ではないのですが、私の場合、1つの画像を長時間いじっていると、良いのか悪いのか分からなくなってしまうので、日を置いて仕上げるようにしています。

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