19 最終回 デジタル画像処理、5年の変遷
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画像処理の新たな道が開けたことを記念して、5年間の苦闘を振り返ってみました。 フジのFinePixS2Proから私のデジタル天体写真は始まります。 それ以前は殆どリバーサルフィルムで撮影していたので、画像処理と言っても、フィルムスキャナーで読み込んでパソコンで表示して喜んでいた程度です。私の場合、殆ど独学だったため、天ガやネットの情報を元に試行錯誤の画像処理時代が幕を開けたのでした。仕事でフォトショップを使う機会が多かったので、画像処理は雑誌の記事や本を参考に仕事のシステムをそのまま使って(怒られそうだけど既に時効)、適当にやっていました。フィルム時代の感覚で、黒い背景、飽和した星、コントラストの強い星雲で全く問題を感じていませんでした。 今にして思うと画像処理技術を向上させるためには、「作品を見る目」が最も大切で、自分の画像との相違点を認識できないうちは、いかに技術面の知識を勉強しても作品作りに反映されません。 デジタル画像処理に本腰を入れたのは2008年の春です。ニュートラルグレーの背景、RGB256階調に綺麗に分布した星雲、色のある星々を目指すようになって1年半です。フィルムから移行した当初は元画像が分からなくなるほど手を加える事に抵抗がありましたが、最近は16bitの撮影データを8bitに満遍なく再配列することがデジタル現像と考えて納得しています。16bitの調整レイヤーが使えるフォトショップCS3の購入や星マスクの使用で、明るい恒星を飽和させずに星雲のレベルを調整したり、微光星を抑える事ができるようになり、画像処理の幅が格段に広くなりました。 しかし、この時点では輝く星々はまだ遠い存在でした。 今回の進歩で、画像内の主要な恒星は、拡大画像にしても不自然な黒トビや同心円などが無く自然な輝きを見せてくれるようになりました。考え方は、星マスクの中の画像処理、という感じでしょうか。星マスクで対象とする恒星以外を全てマスクした画像の中で、さらに精密な星マスクを使って恒星の輝きやぼかし、色調等を補正する技術です。おそらくこの作業で、これまで私の画像の最大の欠点だった星像と恒星色の問題は解決されると思います。問題はそれに見合う画像の撮影ですね。もちろん、ガイドミスや収差、片ボケなどの補正にも使える技術ではありますが、出来れば最初から丸い星を綺麗にしたいです。 滑らかでしかも自然な透明感のある背景、鋭く色とりどりに輝く星々、そして何より、私のこだわりである限界まで淡い部分を追求した星雲、この3つが揃う日も遠く無いかもしれません。 最後に、分析ソフトの宣伝です。 私はこのソフトを、私と同じように画像処理に悩む全ての天文ファンに使って欲しいです。 左に示す5年の変遷は画像や解説文よりもグラフの方がそれらの特徴を表していると思います。大したことが出来るわけではありませんが、軽くて操作は簡単です。画像処理途中で頭を冷やして客観的に画像を見直すツールとして、ネット上の美しい画像のノウハウを勉強するツールとして、ディスプレーの色調補正ツールとして、デスクトップの隅っこにアイコンを作っておいてもらえたら幸いです。 グチャグチャと書き綴った我流処理のコーナーは、これにて一旦打ち止めにしたいと思います。 これからも新たな発展はあると思いますが、それはまた別のコーナーで書き留めていきたいと考えています。 |