デジタル撮影2016年分

この年の11月に古屋君で暮らし始めました。
自宅で撮影出来る気楽さを再確認する事が出来ました。

戻る

 

69枚コンポジット



22枚コンポジット



29枚+37枚
コンポジット
(2015.10.6撮影画像使用)
2016.12.21

かもめ星雲(IC2177)










クリスマスツリー星団(NGC2264)
 +カタツムリ星雲(IC2169など)










IC348, NGC1333


CanonEOS X7改造機、Nikkor
180mm(F2.8) F4
露出90秒、ISO3200、
VixenGPD+QHY5L-Ⅱ、
PHDguidingにてオートガイド
2016.12.26

今回のメインは、前回のリベンジでかもめ星雲です。
南側の空は撮れる環境になったら撮りたいものが沢山あったのですが、これもその一つです。どうしてもこのシーズンの内に納得できる撮影をしたかったと言うことです。若干星の色がカラフルなので、ちょっとピントを外しているのかもしれません。完璧とは言えない出来栄えですが、現状のシステムではこれ以上は難しいかもしれません。画像処理でも無理をしていて、白い恒星の周囲に収差が目立つ場合、PIのCCのホワイトリファレンス領域を上手く設定して星の色を白く出来るようにします。必ずどこかにシワ寄せが行ってしまうので、何処で修正しやすいか、という事になるのですが、少なくとも星の色をいじるよりは星雲の色を修正する方が簡単です。次回は125SD+冷却CCDで撮りたいです。


クリスマスツリー星雲周辺も人気の領域ですが、ここは画像処理が本当に難しいです。出来れば十分に露出をかけて綺麗に仕上げてみたい領域ですが、今回はかもめのリベンジで早々に切り上げてしまいました。赤い星雲部分の濃淡が少なくてベタッとしています。手の施し用が無いのが中央の黄色い星団周辺の散光星雲部分の平坦さです。辛うじて綺麗な黄色い星があるのでそちらを強調してごまかしていますが、難しいです。右上に広がる暗黒帯は何とか表現できましたが、出来れば1時間以上露出して暗黒帯周辺の色を綺麗に仕上げたいです。



IC348の周辺はまだまだと言う感じです。
これは昨年1時間露出で撃沈していたのですが、今回撮り足して何とかしようと言う姑息な作戦でした。本来これをメインにするつもりでしたが、かもめ星雲を優先してしまったので、またしても中途半端です。多分もう1時間あれば仕上げられそうな感じでしょうか。


11月に古屋君に住み始めて、4回撮影出来ました。星見櫓は視界を確保するだけでなく、この地域に多発する霧の影響を軽減してくれる事が分かりました。家の中の振動や車の振動はほどんと影響しないのは予想外でした。勿論人間が乗ってしまうとオートガイドは警告が出るので、撮影中櫓に乗ることは出来ません。厳密に言えば極軸合わせにも影響するでしょうし、ピント合わせ時の振動も地面よりは気になります。ただ積雪時でも除雪が簡単なので、空さえ晴れれば撮影可能です。当初計画した敷地西側にスライディングルーフを作る計画を諦めたわけではありませんが、星見櫓は実用性が高く、かなり現状に満足してしまっています。

参考のため、星見櫓の特徴を挙げておきます。
・屋根は無い
・2階から出入りするが、2階との接合は無く、支柱3本は地上に基礎を打って立ち上げている
 (家の構造上の問題で一本だけ一階の小屋根に乗せてある)
・支柱同士の間には特注で筋交をいれ、強度を増している
・床はアルミ製中空角パイプ(既製品)の素材で組んで四隅には補強板を入れてある
・当初、床に鉄板を敷く予定だったが、実施していない


15枚コンポジット

62枚コンポジット
 

29枚コンポジット
2016.12.3


カリフォルニア星雲&M45




Sh2-240など


Nikkor 58mm(F1.4) F4程度
露出180秒、ISO3200、




かもめ星雲 IC2177
AiSNikkor180mm、F8
CanonEOS X7改造機 
LPS-V3フィルター使用、

VixenGPD+QHY5L-Ⅱ
PHDguidingにてオートガイド
2016.12.26


12月3日の撮影では本当に久しぶりにLPS-V3フィルターを使用しました。目的はSh2-240を天の川の微光星の中から炙り出すためです。このフィルターは画像全体のカラーバランスが大きく崩れるので近年殆ど使っていませんでしたが、目的があれば有効なフィルターである事は間違いありません。

フィルターの影響で露出が1段暗くなると言われているので、EOSkissX7改造機でISO3200, 180秒に挑戦しました。購入した最初のテストでISO1600、180秒のダークノイズがISO3200、90秒に劣るので、これまではISO3200、90秒で撮影していました。今回は外気温も低く、レンズのF2.8はこの前試したので今回はISO3200で露出180秒にしてみた訳です。

結果これが失敗で、ISO1600,180秒とは比較にならない程、画質が荒れました。気温が低いので行けるかなと思ったのですが、甘かったようです。

本命のSh2-240は62枚使えたので辛うじて写り込みましたが、15枚のカリフォルニア星雲+M45は使い物になりませんでした。Sh2-240はもっとはっきり写るかと思ったのですが、画質が悪いためこの辺が限界でした。やはり冷却が必要な対象ですね。


ついでに最後に撮影したかもめ星雲(日本ではわし星雲)は、レンズを交換した際に絞りがF8となっていたことに気付かず貴重な時間を無駄にしてしまいました。ただ、F8まで絞ると星像は本当に良くなりますね。将来的にカメラの感度が飛躍的に向上すれば、そういう考え方もあるかもしれません。
 
 

16枚コンポジット

18枚コンポジット
2016.11.24

ノーマルD800の画像の
ホワイトバランス






M45






M42



NikonD800ノーマル機、ISO3200、180秒露出 
VixenGPD(K-Astec改+AGS-1L)、
Borg77EDⅡ+7878レデューサ
(398mm、F5.1程度)
2.5cmファインダー+QHY5L-Ⅱ
PHDguiding
2016.11.29

ノーマルカメラで撮ったので、カメラのホワイトバランスを使って処理しようと思ったのですが、そもそもBatchPreprocessing(BPP)のDebayerには、ホワイトバランスの指定はありません。

PixInsightではデジタル一眼のRAW画像を扱うとき、FormatExplorerの設定で予めホワイトバランスを指定出来ます。ここで Create raw Bayer CFA imageを選択して、さらにNo white Balanceとするのが天体用に改造された一眼画像では一般的でしょう。

カメラのホワイトバランスを使用するには、ここでCameraWhiteBalanceを選択すれば、CFAimageで読み込んでからDebayerで変換しても、その設定が有効となります。と言うことは、この状態でBPPを使えばカメラのホワイトバランス設定で、全ての処理を行うことが出来るはずです。おー、やり直してみる価値あるかな・・・・?

良く考えてみたらフラット補正を行わなければならないので、たぶん撮影時のホワイトバランスにはあまり意味がなくなってしまいますね。

結局、ノーマルカメラでカメラのホワイトバランスを使って処理する作戦は頓挫しました。

PIのカラーキャリブレーションでは、Hα領域の透過性が高い改造機で撮影すると白っぽくなる星雲部分が青みががってしまいます。別に「これが本来の色」というつもりは毛頭ありませんが、ノーマルカメラのフィルター透過性を反映しているのかも知れません。だとすると、肉眼で見たとき光量が十分ならこんな感じで青っぽく見えるのかも知れないと思いました。
 

冬の天の川
上:東、下:西
左:南、右:北

ぎょしゃ座中心部
99枚コンポジット

オリオン座中心部
28枚コンポジット
2016.11.7

記念すべき、星見櫓でのファーストライト

Nikon D800 ISO3200 30秒、
Nikkor 10.5mm魚眼、F3.2
固定撮影




2枚共通

CanonEOS X7改造機(冷却なし)
Nikkor 180mm(F2.8) F4、露出90秒、ISO3200
スカイメモRオートガイド無し
PixInsightのSubframeSelectorで画像選択
2016.11.28

 2年ぶりに自宅で撮影出来る環境になったその日に晴れるという幸運に恵まれました。

冬の天の川
古屋君の裏に2階から出入りするバルコニーを設置しました。星見櫓と命名しましたが、特に天文仕様ではないので、高倍率で惑星や月を観望したりする事は出来ません。肉眼、双眼鏡観望とリモートあるいは放置撮影しか出来ません。見晴らしはこんな感じで、結構暗いのが取柄です。
 自宅西側斜面のケヤキを伐採してもらったので、地面を整備すれば斜面の上に出て機材を設置出来るようになります。藪を切り開く作業は春までに何とか頑張りたいです。


ぎょしゃ座中心部

オートガイドは出来ませんでしたが、スカイメモRの調子が良く、比較的歩留まりが良くなりました。初めてPixInsightのSubframeSelectorを使って良質な画像のみを選択し、コンポジットするという贅沢をやってみました。130枚から当初77枚までふるい落として超贅沢コンポジットをしましたが、結局99枚と大差無く、そちらを使いました。勿論、拡大して微光星をよーーーく見ると違いますけどね・・・


オリオン座中心部
こちらは空の状態が悪化して、28枚しか使えませんでした。
普通の燃える木とオリオン大星雲です。


今回、良いタイミングで古屋君と出会えましたが、決断したきっかけは8月に居残り撮影して実家に帰り、翌朝仕事に向かう途中で交通事故を起した事です。相手のワゴン車が交差点で一時不停止だった事が原因ですが、信号機が無い所なので私も前方不注意の責任があります。そんな事より、相手が自転車のお年寄りだったら、ランニング中の青年だったらと思うとゾッとします。結果、私は止まれなかったのですから。

星は自宅で寝ながら撮るのが性にあっていると痛感しました。
 


 2016/8/5


ケフェウス座の散光星雲
28枚コンポジット




天の川中心部(通称バンビ周辺) 2016.8.5
36枚コンポジット






白鳥座
左上:18枚、右上:10枚、下:6枚

CanonEOS X7改造機
LPS-P2フィルター使用、
Nikkor 58mm(F1.4) F2.8程度、
露出90秒、ISO3200、
スカイメモR
2016.9.10

撮影頻度が減って、画像処理の勘が鈍っていますが、それでもPixInsightに助けられて大した手間もかけずに仕上げる事が出来ています。

ただ非冷却のデジタル一眼の場合、やはり冷却CCDのような階調を得る事は難しいです。特にコンポジット枚数が少ない白鳥座の散光星雲が平面的なのは残念です。

今回はLPS-P2フィルターを使用しているので、Fを一段階小さくして必要な露光量を得ています。この場合恒星の露光量はフィルターを使わない場合と比較してどうなるのでしょうか。恒星の色の表現は若干貧弱なのは、フィルターその物が原因なのか、それに伴う露出延長なのか、未だに良く分かりません。

階調を大幅にロスする原因は、フラット補正後の画像ではこの種の星野写真でもDBEを使ってカブリを取り除くことが出来るのですが、やはり画像処理の最終段階になって目立ってくる色むらを、もう一度ABEを使って除去しなければ仕上げられない所にあると思います。これをやらないで済めば随分良くなる気がします。

これはマウントアダプタの問題ですがF2.8と思って調整していますが、実際にはもっと小さくなってしまったらしく周辺部の星像が丸くありません。F2.8だとフルサイズでもそこそこになるので、APS-Cならば問題ないはずなんですけどね・・・
 

Bias

Dark


左上:Bias兼FlatDark
右上:Dark
左下:Flat(LPS-P2 FF)
右下:ライトフレーム1枚(Bayer)

全てレジンを切りつめて強調してあります



Bias画像の詳細
ノーマライズしてあります






Dark画像の詳細
ノーマライズしてあります 
カメラは非冷却なのでDark減算は必須です。これはごく普通のDarkですが、使用時にはOptimizeした方が良好な結果になります。この場合Bias画像が必要だと思われます。

カメラレンズでのFlat画像は、以前上手く作れませんでした。理由は使っているELパネルのムラや光の入射角度が原因だと思います。最近、手持ちで1枚毎に撮影位置とELパネルに対する角度を変化させて撮影し大量にコンポジットする事で、ELパネルでも十分効果のあるカメラレンズ用Flat画像を作成できるようになりました。冷却CCDではFlat撮影時のシャッター開閉時間等を考慮して十秒程度の露出で撮影しますが、冷却なのでBias画像があればその程度の露出でFlatDarkをあえて用意する必要はなさそうです。他方非冷却の場合では数秒でもFlatDarkは欲しい気がしますが、実際にDarkの種類を増やすとかえって背景の荒れを引き起こしかねません。露出を可能な範囲で短くして、そのFlatDarkをBiasとして使用するのは一種の妥協策だと思います。


今回を含め、この方法で数回上手く行ったので
「デジタル一眼では1/8秒程度のシャッタースピードで手持ち撮影でバラつきのあるフラット画像を大量に撮影し、コンポジットしてFlat画像を作成するとレンズの減光を上手く補正出来る。さらに、そのダークをBiasとして使用すると背景の荒れを増加させずFlatの適合性を向上出来る。」
と、言えそうです。

 この場合はFlatの露出は短い方が良いのが理屈ですが、1/100とかの高速シャッターでは画質が何となく違う感じなので、私は使っていません。
 
 月明りの桜並木とオリオン座(2016.4.15 胎内川にて)

NikonD800 ISO3200, 8秒 Nikkor28mmF1.8(F2.8) 一枚
PRO1D プロソフトン[A](W) 使用



NikonD800 ISO3200, 6秒 Nikkor28mmF1.8(F2.8)
2016.8.6

デジタルマジックに載せるような画像処理ネタではないのですが、トップから外すので避難の目的でここに掲載しました。

特に画像処理として特別な事をしていませんが、デジカメの進歩でこんな画像が簡単に手に入るようになりました。

40秒×70枚

30秒×18枚
 
 2016.3.28

沈み行く冬の散光星雲

CanonEOS X7改造機
Nikkor 58mm(F1.4) F2.8程度
ISO3200

スカイメモR
2016.3.30

久しぶりに撮影しました。

といっても、ほんの試し撮りで、 Nikkor 58mm(F1.4)の星像チェックです。うわさでは開放でも星が点に写るとの事ですが、実際撮ってみたらさすがに全く収差が無いわけではないので(撮影ノート参照)、星景ならともかく星野写真の場合は若干絞った方が良いですね。

去年の秋、カメラレンズでのPreprocessを色々工夫したので、今回はその通りに最初からやってみました。ダークは40秒で16枚、フラット手持ち撮影で(1/6秒)32枚、フラットダーク(1/6秒)32枚≒バイアス

こんな感じで準備してPIのBPPに放り込みました。ダークはOptimizeをチェックし、フラットダークはBiasFrameにセットします。PixelRejectionは25枚以上あるので、SigmaClippingではなくlinear fit clippingを試してみました。

モデル実験で検証したところ、MasterBiasはDarkのOptimizeの時には使っていますね。フラット補正でも出番があるのでは?と期待していたのですが、モデル実験では今の所その痕跡を発見できません。
以前SuperBiasと言うプロセスを検証した時に、出来上がったLightFrameの背景の滑らかさが改善していたので、どこかでMasterBiasを使っているのだと思いますがまだ分かりません。

高坪山では南中を過ぎると光害があり、まともに撮影出来ないのですが、なんとかこんな感じにまとまりました。露出時間なりの写りです。感動がないな・・・

それからEOSkissX7改造機は癖が無い良いカメラです。一時期D810aを買おうと本気で思っていましたが、しばらくは星景はD800、星野はX7で十分かなと思う今日この頃です。