デジタルマジック 2015年分

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画質が悪いのは触れずに
背景の平面性は
格段に向上しました。
2015.10.6 
M45周辺

CanonEOS X7改造機 Nikkor AiS180ED(F2.8) F4
ISO3200 90秒露出
39枚コンポジット



Vixen GPD赤道儀、
QHY5L-U、PHDguiding
win8.1タブレットで制御
高坪山 

2015.11.20

もういい加減にしろ!って感じですが、ちょっと新しいフラット画像の作成方法の効果を試したくて180mmでも処理をやり直してみました。40枚近い枚数でもPIのBatchPreProcessingならファイルを装填するだけなので、全く面倒臭くなく手軽に同じ作業を繰り返せます。ダーク減算、フラット補正、ディベイヤー、アライメントなどの単純作業の繰り返しでイライラしません。さらにアライメントの基準となる画像を決めておけば、出来上がった元画像はそのままPSのレイヤーに組み込めるので、ある程度(そのままという訳には行きませんが)客観的な比較が可能です。

さて、左上の画像の左側がいままでのフラット画像と今回新たに作製したフラットが像です。ベイヤー配列のままですが下のフラット画像は周辺減光の感じが出ていますね。これまでのフラット(上)を見てこの180mmはF4、APS-Cでは殆ど減光は無いと思っていました。ただ実際レンジを切り詰めていくと周辺が破綻してくるのでおかしいな?とは感じていたのですが、新たに作製したフラット画像で周辺減光の感じが出ているのを見てちょっと納得しました(ぱっと見た感じではほとんど分からない程度の極僅かな減光です)。

今回の撮影方法でどうして周辺減光の特徴が明確に出るのか理由が分からないので、作成方法についてはもう少し検証してから載せようと思います。

とりあえず
「正確なフラット画像作成が成功への近道!」と
言えそうです、かね・・・

1時間では画質が悪いですが、あと1,2時間の露出でモノになりそうです。
 

アルデバラン周辺の分子雲が分かりますね。

魔女をもうちょっと出したかった。

とにかくピンボケが悔やまれます。
 2015.10.14
一枚目
ペルセウス座から
 ぎょしゃ座の天の川
64枚コンポジット



オリオン座付近の天の川
20枚コンポジット



2015.10.16
白鳥座付近の天の川
19枚コンポジット



共通データ
CanonEOS X7改造機 Nikkor 28mm(F1.8) F3程度
ISO3200 90秒露出
スカイメモR、
QHY5L-U、PHDguiding
RAオートガイド
2015.11.16

今年は殆ど撮影しなかったのですが10月の晴れ間に3日間撮影する事が出来ました。久しぶりの天体写真だったので、画像処理も大分鈍っていて、何度もダーク減算やフラット補正をやり直しする事になってしまいました。

で、

最終的にここまで派手に仕上げるのは、やっぱりオコチャマなんですよね。

これで10月撮影分は殆どデジタルマジックに載せることが出来ました。ここに入れておかないと後から探せなくなってしまうので、完成画像は必ず載せるように心がけているのですが、どうも中途半端になっています。

APS-Cサイズでも28mmはかなり広角で、画像の平坦化には良質なフラット画像を有効に使わないとろくな結果にならない事をあらためて痛感しました。それからPixInsightではデジタル一眼の場合、本来フラットダークとする画像をバイアスに利用すると良い結果が得られる事も発見しました。そのためフラット撮影時の露出時間は普段より短めに1/8で行いました。これまでの試行錯誤でEOSkissは1/25程度のシャッタースピードなら長時間露出のフラットとして利用出来る事を確認しています。フラットとしては露出が長いに越したことはなく、バイアスは短時間が良さそうな気がしますから折り合いが難しいです。

今回、冬の天の川については縮小表示でも星の質感を出すために天の川内部の微光星をつぶして比較的明るい星だけを残す事で天の川らしさを出しています。A3とかに印刷する場合は微光星を残すように処理をやり直した方が美しい冬の天の川になると思います。この辺は現在のネット画像の限界を感じます。4Kだと何とかなるのかな?

これでやる事がなくなりました。年内に直焦点を1回くらいやりたかったですが、12月の新月期は晴れても予定が一杯で星どころではなさそうです・・・
 

1ピクセルより小さい星像



画像を差し替えました

左:通常のコンポジット
右:Drizzleのイメージ

グレーの部分が
合成後の星像



左:Resample
右:Drizzle

どちらも2倍
  2015.11.9

Drizzleの原理を私の理解する範囲で模式図にしてみました。

今回は「1ピクセルより星像の直径が小さな恒星」を撮影した場合を想定します。

左上

正方形の枠がCCDの1素子を意味します。ガイドが完璧としても星が位置する場所によって光を受ける素子は赤枠の様になると考えられます。露光した素子はその正方形として露光量が表現されるので、それぞれグレーで現す星像が得られることになります。あくまで模式的です。

左下の左側
このような星像を重ね合わせるのがコンポジットですが、濃度の重心位置でサブピクセル単位の位置合わせをして、さらにガイドの関係で若干回転を生じたと仮定するとグレーのグラデーションで表されるような星像が最終的に得られることになります。僅か1ピクセルに満たない星であってもコンポジット後には5×5ピクセルの広がりを持つ可能性が示されています。理想的な大気とガイド状態で撮影したとしても、星像とCCDの位置関係で1×1の星像になる事は稀で、現実には1×2、2×2より小さな星像が得がたい事が分かります。これらをコンポジットすると最終的に3×3より小さくなる事は少ないでしょう。

次にDrizzleはどのような事をするかと言うと、(間違いがあったため内容を訂正しました)

左下の右側 2×2Drizzleで模式的に想像します。
まず実際のCCDの素子サイズの1/2のピクセルを仮定します。
元画像のセルの中に描かれたピンク色の四角はDropShrink(セルの内側(50-90%程度)のさらに限定された範囲)です。便宜上同じ濃度で表現していますが、実際にはオリジナルのセルの濃度を反映しています。これはDrizzleの効果を確実にする判定範囲だと認識しています(計算上、境界線付近はカウントされないという理解で良いのでしょうか?)。

赤枠で示すアライメント後に重ね合わせた星像を通常サイズのピクセル上で合成する場合とDrizzle用の2×2のピクセル上で合成する場合の違いがはっきり分かります。Drizzleを使った実感として、星像周辺のボケが縮小し境界がはっきりするという感じが、この模式図からも想像できます。

1恒星のみから星雲のDrizzle効果について想像するのは無理がありますが、まあそんな感じなのかな、という事でいかがでしょう?あくまで私の想像ですので、間違いなどありましたらご指摘下さい。

 
 

3×3BayerDrizzle

オリジナル

フラット補正



2×2BayerDrizzle
星雲の構造に
注目

2×2BayerDrizzle
レンジを切り詰めて
周囲のガスに注目

オリジナル
2015.10.16
カシオペア座からキリン座
なんとかこれこれが写ってます


CanonEOS X7改造機
carl zeiss Planar85mm(F1.4) F4
ISO3200 90秒露出
67枚コンポジット

スカイメモR、
QHY5L-U、PHDguiding
RAオートガイド












2015.10.6 
M45周辺

CanonEOS X7改造機 Nikkor AiS180ED(F2.8) F4
ISO3200 90秒露出
39枚コンポジット


Vixen GPD赤道儀、
QHY5L-U、PHDguiding
win8.1タブレットで制御


高坪山 

2015.10.16

昇ってくるカシオペア座の下の方に有名な星雲や星団がかたまっていますが、その少し下にマイナーでとても暗い星雲が広がっています。

3×3BayerDrizzleでその部分を拡大してみました。デジタル一眼で2時間に満たない露出では、この辺が限界だと思います。BayerDrizzleに関しては60枚あると気になる副作用は無さそうです。色乗りが悪いのは元の画像でもこの程度なので仕方ないでしょう。輝星の光条が美しくないです。

ちなみに参考でリンクした画像は冷却CCDを使った撮影で、2012年にvdB14,15を約3時間半、2014年にSh2-202を約8時間露出して います。


M45の方は2×2BayerDrizzleで2通りの処理をして見ました。

上は拡大した星雲部分のコントラストをしっかり出して、下はオリジナルに近い感じで周辺の淡いガスを炙り出すような無理なレンジ切り詰めをしています。「Drizzleしたからこんな画像になる」という事は無さそうで、画像処理の手加減で普通の画像と同じに扱えます。コンポジットの枚数さえ十分ならば画像処理を行う上で気になるような癖は無さそうです。

ただしBayerDrizzleを行うと背景はオリジナルより荒れてカラーノイズが若干目立つ感じなので、淡い部分に注目するような場合には向いていないかも知れません。これは色調の境界部分が強調される感じ(本当かな?)の裏返しなのかもしれません。
 
2013年に撮影した画像


左、10枚中7枚をDeconvolutionしてからアライメントしてコンポジット

右、10枚そのままアライメントしてコンポジット

コンポジットは加算平均、シグマクリップ使用
 










 2015.10.28

kさんのブログを拝見していて、ガイドエラーの画像をどうするか?という問題でutoさんがカスタムフィルターで補正して使う方法を紹介していました

うーん、なるほど。良い考えかも知れません。でも手間がかかりそう・・・だったらいっそのこと

エラーの画像をDecoしてしまうのはどんなもんかと思い、やってみました。

これは三日月星雲を撮影したL画像。10枚中7枚で星が丸くありません。

それ自体が問題!

ごもっとも・・・

今回はその件を棚上げして、その7枚を1枚づづDecoしてから、10枚まとめてアライメントしてコンポジットしました。

まず結果をみると、明らかに星雲部分の解像度はDecoした左が良いですし、星像も小さいです。残念ながら小さい分、歪さがくっきりしている感じです。何もしない方はいい感じに星像がボケて、なんだか丸いような感じに見えます。

Decoの設定は、もちろんガイドエラーの星像を使ってPSF画像を作成し、ExternalPSFで行います。
繰り返しは10回、DeringingはGlobal Darkを背景レベルに設定し、マスクは使用せず、なるべく画像全体をDecoします。Deringingしない方が星像を補正してくれそうですが、星の周囲が黒くなるとアライメントに影響しそうな気がしたので、今回はDeringingをチェックしました。後でチェック無しも試してみます。

で、最大の問題はそのままコンポジットしてからDecoした画像と、一枚づづDecoしてからアライメントしてコンポジットした画像で差があるか?という点ですが、Decoの設定次第で何とも言えないと思うので比較しません。

この結果から言えることは、ガイドエラーの画像をどうしても使いたいならDecoしてから加えると、少なくとも星雲の解像度に悪影響を与えにくい、その時背景の荒れがDecoしない場合と比較して極端に気になることもない、という事です。


 

@同じ条件でDDP

AGノイズ選択除去
(SCNR)
@->A

B背景ノイズ除去
(ACDNR)
A->B

Cレンジ切り詰め
A->C

D背景ノイズ除去
C->D
 2015.10.14に撮影した3枚の作品

左:64枚
中:27枚
右;18枚

3種類のコンポジットした画像を元に
ISO3200、90秒露出の画像を多数枚コンポジットする効果が実感できるか画像処理を進めながら比較してみました。



撮影条件は、

EOSkissX7改造機、ISO3200
露出90秒
Nikkor 28mm(F1.8)F4程度
スカイメモRでRA方向のみオートガイド

前処理は以下の画像を使用。

ダークフレーム(現場で撮影)36枚
フラットフレーム(1/8秒)36枚
ELパネルを色調調整

バイアスフレーム(1/8秒)36枚
※フラットダークフレームを代用。フラットダークとしては使用していません。
 2015.10.20

久々に画像がそろったので、EOSkissX7改造機の天体写真特性を確認してみようと思います。

去年の秋に購入しましたが、ファーストインプレッションでそれまで使用していたEOS40D改造機を遥かに超える性能であることは分かりました。デジタル一眼は買った時の値段より、より新しい方が高性能という典型だと思います。残念ながらNikonのD800と1枚撮りの星景写真で比較すると、暗部の階調は惨敗でした。これは仕方ないですね・・・

気を取り直して、X7を星野写真や直焦点で使用する準備として(もう十分沢山撮りましたけど)ISO3200の特性を調べてみようと思います。まず前処理は左に書いたような感じで極普通に行い、その後の画像処理についてもなるべく同じ設定で行うようにしています。

@デジタル現像した状態での比較
 3枚ともABEでざっくり背景の色調を整えてありますが、やはりカラー一発撮りはグリーンノイズが目立ちます。コンポジットが多いほど若干少ない感じはしますが64枚でもGが目立つ感じはあります。

R,G,B原色の点や黒点はコンポジット時にWinsorized Sigma Clippingを行っているのとダークフレームをOptimizeしている事で18枚でも殆ど見られません。あと、あまり褒められた事でもありませんがスカイメモRのRA方向のみのオートガイドなので、適当にフレームがずれているのも良い方に作用していると思います。

AG画像のノイズのみ選択的に除去
 PixInsightではSCNRというProcessで簡単に行えますが、デジタル一眼をお使いの方はGノイズの除去をやった方が、格段にカラーキャリブレーションの効果が分かります。何故冷却CCDの様な色調にならないのか悩んでいる方は、まずGノイズの除去から始めるべきだと思います。
64枚と18枚では明らかに画質に差がありますが27枚だとそれほど荒れている感じはしません。

Bとりあえず背景ノイズを軽減してみます。
 PIのACDNRを極軽く背景に限定して使っています。3枚とも同じ変数設定です。
 ここでも18枚はかなり見劣りしますが、27枚と64枚では微妙な感じですかね。

C、Aから更にレンジを切り詰めます。
 ここまで切り詰めると背景の質感は64枚にアドバンテージが感じられます。それに微光星の質が64枚の方が良いように思われます(微妙なピントとか大気の状態も関係するので断言できませんが)

D改めて背景ノイズを軽減
 やはり64枚が良いように思えます。2時間近く露出していますが無駄では無いようですね。

 ただしPIのBatchPreProcessingで1時間以上待たされます。ダーク減算、フラット補正、ディベイヤー、位置合わせ、コンポジットまで全自動行ってくれるので、自分でやることを思えばなんて事ないですけどね。さらに各工程のファイルが全て保存されるので、何処からでも自分で処理をやり直せます。良く出来るいると思います。特に星の位置を合わせるStarAlignmentは高精度です。
 
 

広角レンズで長時間ガイド撮影すると複雑なカブリが出てしまいます。フラット補正後でもこのカブリを処理するのはなかなか面倒ですが、PIのABEは上手に使うととても簡単にカブリ除去が出来ます。

いろいろな場面で応用できるABEが無いと不自由です。
2015.10.19

PixInsightは現在Ver.1.08.04が最新版ですが、バグと思われる動作不良がいくつか見られます。

中でも困るのはABEで演算エラーあるいは結果が表示されない事と、バッチ処理から通常処理に戻るときに時間が掛かることです。フォーラムを見ると結構バグ情報が出ています。アナウンスされている対応策は一つ前のバージョンを使えというこです。

確かにね。

新バージョンを削除して、旧バージョン(Ver.1.08.03)を再インストールすると何不自由なく快適に使用できます。根本的には次のバージョンアップを待つしかないでしょうね。

 
 
ダーク・フラット
補正

ダーク・フラット
補正
2015.10.6 
シャボン玉星雲周辺

CanonEOS X7改造機 Nikkor AiS180ED(F2.8) F4

ISO3200 90秒露出
41枚コンポジット

Vixen GPD赤道儀、
QHY5L-U、PHDguiding
win8.1タブレットで制御

 
2015.10.16

久しぶりに撮影して、画像処理するネタができて大いに楽しんでいるのですが、縮小画像で見ても今一つはっきり分からないと思うので、最後のダーク補正が上手く行った画像がどの程度かお見せします。 

ISO3200、90秒を41枚加算平均しているわけですが、ダーク減算をPixInsightのOptimizeDarkを使って何とか等倍でお見せできるレベルです。決して滑らかで綺麗な背景ではないですが、暈さなくても解像度に貢献するザラツキです。同じ総露出時間1時間程度ならば、冷却はできないまでも低ISOで撮影すればもう少しS/Nを改善できるのだと思いますが、今回はポータブル赤道儀で星を点にする方に重点を置きました。

今回いろいろな対象を撮ってみて分かった事は、ISO3200で短時間露出+多数枚コンポジットは暗い部分のS/Nが低下するため、極淡い分子雲などの撮影には向かないが、明るい星雲では殆ど問題なく処理できるのではないかと言うことです。

あと非冷却のデジタル一眼では基本的に外気温を参考にしてダークを作るので、どれ程気を付けてもピッタリのダークを得る事は難しいという事です。ダークの最適化をする場合はバイアスファイル(あるいはそれに同等のもの)を使用した方が良い結果になりました。

フラット補正あり



フラット補正なし
2015.10.6 
IC1396

CanonEOS X7改造機 Nikkor AiS180ED(F2.8) F4

ISO3200 90秒露出
39枚コンポジット

Vixen GPD赤道儀、
QHY5L-U、PHDguiding
win8.1タブレットで制御

2015.10.11

連休なのに生憎の雨降りです。

M45に続いて基本的な処理をやり直しました。

まずダーク減算を止めた理由は
・X7のISO3200のダーク画像は明らかにISO1600と異なる特性があり、あまりランダムノイズが目立たない
・ISO3200撮影の目的は短時間露光と多数枚撮影なので、コンポジットによるランダムノイズ軽減が期待できる
以上の2点です。

フラットを短時間露出にしたのは、フラットダークをバイアスフレームとして使用するためです。

なぜバイアスフレームを使うのかというと
・ライトフレームのダーク減算をしないのにフラットフレームだけダーク減算することは出来ない
・ダーク減算しないなら、フラット補正の効果を高めるためにバイアスフレームは必要
と考えられるからです。

結果として、このIC1396でも非常に良好な画像を得る事ができました。

誤解のないように明記しますが、左下の画像で生じている色むらはPixInsightのバックグラウンド補正(DBE)の副作用で、元々の背景に色むらがある訳ではありません。なぜそのような副作用が生じるのかはPixInsightのページをご参照下さい。

あと現在のPIではABEにバグがあるようで、動作が不完全です。回避方法はPixMathを併用すれば良いことは分かりましたが、改善されるのを待ちましょう。

最後に背景が綺麗になったので星を大きめに残しました。ちょっと煩い感じもしますが、密集する星の感じはバンビの横顔の辺りと若干違う感じで面白いです。
 
3度目の正直
結局
ダーク減算
フラット補正

2回目
フラット補正あり


最初の処理
フラット補正なし
2015.10.6 
M45周辺

CanonEOS X7改造機 Nikkor AiS180ED(F2.8) F4

ISO3200 90秒露出
39枚コンポジット

Vixen GPD赤道儀、
QHY5L-U、PHDguiding
win8.1タブレットで制御

2015.10.10

久しぶりに撮影しダメダメのM45にちょっとガッカリしていたのですが、何のためのデジタルマジック!と奮起しました。

まず以前一度失敗したフラット画像の作成とPixInsightでのフラット補正です。いろいろ考えて
・ダーク画像を使わない
・フラットは0.2秒程度の短時間撮影としてライトフレームより若干明るめ
・フラットダークをバイアスとして使用

これでPIのバッチ処理を行いかなり良好な結果になりました。フラット補正後の画像をみるとやはり右にカブリがありました。低空で撮影を開始したので原因でしょう。しかしABEは減算処理ではしっかり動いて綺麗にかぶりを取ってくれたので、ようやく背景が見れる状態になりました(その後何度か使いましたがABEはやはり動作が不安定ですね)。



1時間程度の露出にしてはまあまあ見れるように仕上がりました。


2015.10.12
色々考えた挙句、ダーク減算、フラット補正の両方行い、最も良い結果になりました。
何で今まで試さなかったのか、随分回り道になりましたが「変な固定観念を捨てる」事が大切です。
冷却CCDと非冷却改造デジタル一眼は全く別物です。壊してしまったStarShootProとも違いますが、悪い意味ではなくその違いを上手に利用する事が撮像から最良の結果を「創造?!」出来るのでしょう。

なんだかなー

最近PIのBatchPreProcessingを実行しようとすると上のコメントが表示されます。でも知識が無いのに試行錯誤しても最初のBatch処理を越えることは難しいんですよね。

今回も欲をかいて色々Integration Processの設定を変えて、Batch処理で出力されたalignment済みのファイルをIntegrateしてみましたが、全てについてBatch処理を越える画像は得られませんでした(元が悪い・・・)
 

@

A

B

C

D

E

F
 ついでにDrizzleは面倒だったので、
2*2に解像度を上げて同じ事をやってみました。Decoの効果は大きく変わらないことが分かります。




A’

B’









E’

F’
デコンボリューションを考える

大好きなPixInsightのプロセスで非常によく使うDeconvolurion(以下Deco)について考えてみました。

私は自分でやってみて、その結果から類推するアプローチが性に合っているので、簡単なモデルを設定してDecoの繰り返しの意味を考えて見ようと思います。

そもそもDecoはPSF(Point Spread Function)を計測して行う方法と、ブラインド・デコンボリューションと言って、画像から類推して行う方法があります。天文、特に星が写っている画像ではPSFを計測する事が容易に出来るので、今回はPIのExternalPSFを使って考えていこうと思います。

数式から原理を説明するような事はとても出来ませんが、PSFを使うDecoは理論上点光源が画像でどのようにボケているかを計測し、それを利用してDecoを行う方法です。したがって実際(大気圏外では)点光源の恒星が写っている天体写真では非常に有効だと思われます。

左@の画像はモノクロCCDの一枚画像、STFだけで圧縮処理をしていないリニアデータです。中央の恒星についてPSFを計測した状態が右上隅の像です。実際の処理では大気の影響や光学系の不均一性を考慮して沢山のサンプルを使用すべきだと思いますが、とりあえずわかりやすく単一恒星のPSFです。

この恒星像は元は点光源ですが、大気や光学系及びCCDの問題でボケています。これを分かり難く言うと、フーリエ解析を行った場合の空間周波数の高周波成分が少ない画像です。

Aまず繰り返し10回。恒星をDecoすると周りが黒くなるので普通はマスクやDeringingを行うのですが、今回は全ての要素をデフォールトとして、単に繰り返し回数だけを見ていこうと思います。Decoの効果として中央の恒星の面積が小さくなり周辺のボケた暗い部分が減っています。恒星周囲は黒くリング状に抜けてしまっていますが、この実験では無視します。Deringingなどを使うと本来のDecoの結果が修飾されてしまう危険性があるからです。周りの小さな恒星もDecoの効果が出ていますが、気にせず中心の明るい恒星だけに注目して続けます。

B50回、さらに恒星は小さくなっています。C100回、さらに小さくなり、恒星画像はくっきりします。

もちろん、画像全体がこんな状態では観賞用写真としては実用的な画像処理にはなりませんが、さらに回数を増やします。

繰り返し回数が増えるとProcess Consoleに警告が出る回が増えます。意味のない繰り返しが多くなっていますが、それでも1つの恒星像だけに注目する限り恒星像は小さくなっていきます。D200回、E400回、F800回で中心の恒星は2*2の点になっています。処理を繰り返すことで点光源からボケた恒星像が復元されている事がわかります。これはたぶん理論通りで、PIのDecoではPSFを用いる方法が非常に優れている事が分かると思います。

で・・・

問題はこれを星雲や銀河の構造復元に用いるという事です。マスクやDeringingを使って必要な部分以外にDecoの効果が及ばないようにしないと、とても見れたものでない仕上がりになってしまいます。この点は以前にまとめましたが、肝心なのは使っている光学系の限界がどの辺かという事です。理想的な大気状態と光学系でもCCD上の恒星像が800回レベルになるような事はないでしょう。私の場合125mmの屈折ですから、若干の収差は残ります。平地での撮影ですし水蒸気も多い地域なので大気の影響もかなり大きいでしょう。恐らく10回から30回の間に落とし所があるような気が来ます。無い物を創造するような画像処理では、あまり意味がないかもしれません。回数は多いほど良いのかもしれませんが画像全体として見た場合に意味がある回数は「収束してゆく恒星像の大きさが自分の撮影環境での理想的な状態」と、言うのが私の印象です。

実際の処理では恒星はがっちりマスクした上にDeringingも使用してDecoの悪影響を抑えるので撮影画像上で恒星像はそれほど小さくなりませんが、現実的な大きさの恒星像を作り出す回数程度でDecoを行うことで適正に銀河や星雲の構造を復元できるのではないかと思います。画像全体でDecoを行うと50回辺りから収束していないというような意味の警告が出て、意味の無い繰り返しになる場合が多いので、この点からも、10から6,70回の間で10刻みくらいで調節するのが現実的な繰り返しになると思います。

これはあくまで私がDecoを使う目安です。

hybrid

D800+14-24mm

EOSkissX7+8-16mm


2015.5.22

2台のカメラ画像を合成




NikonD800, ISO3200, 60sec. Nikkor14-24mm(F2.8)
固定撮影
合成なし、一枚画像



CanonEOSkiss X7改造機
ISO3200, 90sec. 14枚コンポジット
SIGMA 8-16mm F5
スカイメモR




Nikon D800, ISO3200, 90秒
Nikkor 14-24mmF2.8G  14mm, F4
スカイメモR(RAオートガイド)
合成なし、一枚画像
2015.9.19

5月に撮影した画像を合成したものをブログに載せました。その方法について、ちょっと真面目に考えてみようと思いました。

今年は「新星景写真」と呼ばれる合成写真が天体写真として広く認知されました。この種の考え方はフィルム時代から、部分コンポジットとして雑誌に入選するような作品にも使われていました。デジタル時代になって星景写真や星野写真を手軽に撮れるようになり、パソコンの進歩で高度な画像処理が可能になると誰しも地上風景と星野写真の合成を考えるようになりましたが、常に「それって合成写真?」という疑念が付きまといました。

言葉として合成=コンポジットとも言えるので、天体写真は大抵合成写真なんですが、慣例として天体写真のコンポジットはコンポジットとして、一般的な意味での合成写真とは区別して用いられていますよね。

新星景写真では、一定の合成手法を示すことで星景+星野写真を単なる合成写真と区別しようと言う提言だと私は解釈しています。でもやっぱり言葉を作るということはそれが一人歩きすることを止められません。

さてそこで、hybridとした一番上はスカイメモに同架した2台のカメラで撮影した画像を合成しています。ノーマルカメラで星景写真、改造カメラで天の川を撮って画像処理した上で合成するという手法です。別にそれほど良い仕上がりではありませんが、考え方としては「あり」でしょうか?

・天頂付近の天の川を数時間前に撮影した地上風景と合成するような時間的・空間的なズレはありません。

・同一赤道儀上の2台の異種カメラ+異なる光学系を使った合成は天文雑誌も認めているようです。

さて、いかがなものでしょう。

ちなみに最後の画像はPSのCameraRAW現像しただけの写真ですが、今のカメラ性能ならなんとか地上風景が分かる程度に明るく撮れてしまいます。
 
2015.5.22


NikonD800, ISO1600, 90sec. Nikkor14-24mm(F4)

コンポジット無しの1枚

スカイメモRにてガイド撮影
2015.6.2

この日は大気光が写ったらしいので、CameraRawで現像したTiff画像その物を縮小してお見せします。

周辺の街の灯りが強いのでどこまでが大気光なのか良く分かりませんが、たぶんこの色むらの様に見えるのが大気光だと思います。まるひさんのブログを見るまでは全く気付かず、この日の天の川は色ムラが多いなーと思っていました。

真面目に?画像処理すれば、この光害も大気光もすっかり消してしまえる事は良い事なのか悪いことなのか。結局は何に着目するかという事なんでしょうか。天の川に着目すれば、光害も自然現象も邪魔な事に変わりありません。

 
 2015/4/21撮影

NikonD800,
Nikkor28mm(F4) 一枚のみ

固定撮影

2015.4.21 胎内川の土手にて撮影
2015.4.30

上は補助光にLEDライトを桜に当てています。下は補助光なしです。

上:
私は光の当て方が凄く下手なのですが、珍しく自然な感じになりました。それでも桜に違和感を感じます。反射光が多くなるため平坦な感じというか透明感の欠如と言うか、写真としてはあまり好きではありません。

下:
出力されたRAW画像では桜は真っ黒ですが、画像処理で思い切り持ち上げてなんとかこんな感じに色が付きました。

やっている事はどっちもどっちですが、私は下の画像の方が好きですね。補助光の是非をどうこう言うつもりはありませんが、下手に順光で当てると綺麗に発色しても対象が平面的になってしまうのが不自然で嫌いです。

照明が当たっている前景に自然な影がある作品は凄い技術だと思います。
 
2014.4.15 撮影

NikonD800, ISO3200
Nikkor14-24mm(F2.8)F4 14mm 
20秒露出*8枚コンポジット

スカイメモRでガイド
2015.4.7

そろそろ今年も桜星景の季節がやって来ました。

去年は満月で昼のような明るさになってしまいましたが、8枚加算平均値でコンポジットするとかなり暗い星まで写っています。さすがに天の川はなんとなくバンビの顔が分かる程度です。

これは最近話題の新星景写真とは逆ですが同じ分類になると思います。私は色域指定を使ってマスクを作り、さらに地上が動いていく方向とグラデーションマスク等を併用して細かい部分をごまかしています。20秒あると桜の枝は揺れるので完全には静止しませんが、そもそも完全にブレは消えないので仕方ないでしょう。ある意味桜に特化している処理かもしれません。

この種の画像処理に関して星屋さんのコンセンサスが得られるならば、星景写真のバリエーションは非常の豊富になります。一生に一度有るか無いかのチャンスを待たずに目で見た風景を(その場で感じた風景を)簡単に作り出す事が出来るかもしれません。それがよい事なのか味気ない事なのか、撮る人の気分の問題ですかね。
 
 2015.4.1
昇るぎょしゃ座

今日だからという訳ではありませんが合成写真です。
NikonD810Aがあったら、このような写真は撮れるでしょうか?星景写真に星雲を写し込むのは夢ですね。

もうちょっとでエイプリルフールネタが現実になりそうな気がします。
計算ではISO12800、50mmF2.8程度のレンズで8秒ガイドの一発撮りで、このようになると思います。実際には大気の状態でどの程度写るか分かりませんが、赤い星雲は比較的低空に強いのではないかと思います。たわわに実った柿木とM42、桜とM31、雪の飯豊とアンタレス付近、撮りたい構図は沢山あります。

星雲景写真って事になるのでしょうか?これに限ってはコンポジットをご法度にしないと、ある意味合成写真と一緒で何でも出来てしまうので面白くないです。

 
 2015.3.27

NikonD800, ISO800
Nikkor28mm(F4)
15秒露出 1枚

固定撮影
2015.3.28

久しぶりに星を撮りました。

月夜の福島潟は結構明るかったので、固定撮影で星景写真を撮りました。リハビリにはちょうど良いです。

ソフトフィルターは使わなかったので、画像処理でソフトフィルター効果を出しています。実際のフィルター撮影より色の乗りが悪いのですが、前景がボケないので最近多用しています。Leeのハーフフィルターも試してみたいのですが、結構お金がかかるのでお手軽画像処理で済ませています。

 



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