PixInsightでのPreprocessing

去年LRGBをまとめましたが、漸くPreprocessingに手をつけました。順序が逆ですみません。

PixInsightではダーク減算、フラット補正、アライメント(StarAlignment)、コンポジット(ImageIntegration)をそれぞれ手動で専用のProcessを使って処理する事も可能ですが、BatchPreProcessingを使うとProcessとほぼ同等の処理を全て自動で実行してくれるのでとても便利です(デジタル一眼ならベイヤーRGB変換(Debayer)も)。

撮影画像とキャリブレーションに使うDarkやFlatを指定して、あとはいくつか設定するだけです。
それでも他のソフトとは異なる考え方があり最初は戸惑う部分があると思います。

以下の解説は大して詳しい物ではありませんが、最初使いにくいと感じる部分が実は便利だったりするPIらしさを、ご理解頂ければと思います。

2014.10.16

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撮影した画像を綺麗に仕上げていくには、ダーク減算、フラット補正、ホット・クールピクセル除去、位置合わせ、コンポジット、デジタル一眼などではベイヤーRGB変換など、基本的な処理が必要です。これらはPreProcessingと呼ばれていて、天体写真用の画像処理ソフトには専用の処理系統が用意されています。PixInsightにもこれらの処理を行うProcessと、それらを一括して自動で処理するスクリプトBatchPreProcessing(BPP)が用意されています。

ここではこのBPPについて使用手順と勘所を解説したいと思います。

必要な処理が全て装備されていてるので使い方に慣れてしまえば非常に便利です。

   
ファイルの指定

重要!!
PixInsightでは日本語表記のフォルダー・ファイルを開くことが出来ません。
全てアルファベット、半角数字にしなければなりません。

BPPを起動して、まず最初に使う作業は、ファイルの選択です。左下にファイル選択用のボタンがありますがFitsHeaderにファイルの種類(Light, Dark(露出時間、温度), Bias(温度), Flat(L,R,G,B, etc.)が記録されていればAdd Filesで全て一括で選択可能です。例えばLightFlame用のDarkFileとFlatFlame用のDarkFileなど異なる露出時間のDarkFileが混在していても時間ごとに整理されて収納されます。また、Lが1*1、RGBが2*2ビニングのような場合でも混在可能です。それぞれのBias,Dark,Flatも一緒に選択してかまいません。


DarkやBias, Flatは一回計算を行うとMasterFileが作られて保存されます。これらをライブラリとして管理している場合はその都度計算をやり直す必要はありません。たとえばDarkファイルをライブラリーとして管理している場合はそれらを選択すれば最適な1枚をmasterfileとして使用してくれるはずです。
残念ながら1つのカテゴリで、今回追加で撮像した画像複数枚と、既にライブラリーにあるMasterFileが混在するような選択は出来ません。

※ただしDarkは今回撮像したファイル36枚を選択、BiasはライブラリからMasterFileを選択、というような事は可能です。

デジタル一眼などではRawFileに温度などの画像情報が無いので、選択するファイルの種類をそれぞれのAddボタンで指定します。それでも上手くいかない場合、たとえばデジタル一眼でHα用のナローバンドフィルターを装着して撮影した画像を区別するようなときはAddCustomボタンで細かく指定する事が可能です。
 
それぞれのファイルの処理内容の選択

 
 

ファイルの指定が終了したら左上のタグで、Bias, Darks, Flats, Lightsそれぞれに正しくファイルが入っているか確認します。
Bias, Dark, FlatそれぞれIntegrateの条件を設定する事が可能です。デフォールトでも問題ないですが、必要が有れば指定可能です。

Bias:
OverScanは使用する領域を切り取る作業です。使ったことはありませんがImageCalibrationでは特にBiasに限っていないので、ここで領域を指定すると全てに反映されるのかもしれません(推測です)。
CombinationではAverage、Medianなどを選択できます。デフォールトはAverageでRejection algorithmはWinsorixed Sigma Clippingです。使用するBiasフレームの枚数は出来るだけ多い方が良いでしょう。最近実装されたSuperBiasProcessで加工したMasterBiasでも使うことが出来ます。

Dark:
Biasと大差ありませんが、Optimize Dark Framesをチェックするとそのパラメータがアクティブになり指定できます。Optimize Dark FramesはDarkをLight, Flat Framesに合わせてDark frame scalingを行ってノイズを最小限にする機能のようです。解説では0.1度の温度差で生じるノイズの変化を補正して適性にする例が載っていますが、デジタル一眼など温度調整機能の無いデバイスでどれくらい効果があるのかは検索した限りでは書いてありません。実際やってみるとそれほど大きくない気温差ではOptimizeしたDarkの方が良い感じに仕上がる事もあるようです。必ず両方試すべきだと思います。温度がきっちり管理されている場合はむしろ使わない方が画質が良くなる気がします。
Exposure toleranceはデフォールト10秒ですがこれは冷却CCDの場合でしょう。デジタル一眼は使用する全てのDarkの露出時間が区別されるように指定すべきです。

Flats:
Biasと同じです。
 
 ※右MasterFileを使う場合は右側のチェックボックス、Use master の部分にチェックを入れると、指定されたファイルに星マークがついてマスターファイルとして認識されます。。
 
モノクロCCDでは使用するファイルの種類が多いのでBPPが有効なのは言うまでもありませんが、デジタル一眼でも個々のステップを手動でやるより格段に時間を節約する事が可能です。ただしBPPでは最低でもBias、Dark、Flatフレームのどれか1つ指定しないと演算を行う事が出来ませんので、BPPを使う場合には予め用意する必要があります。

なおデジタル一眼ではFlat用にFlatDarkを用意すればBiasフレームは必要ないと思われます(むしろ使わない方が良好な結果になるような気がします)。全ての種類のファイルが揃っていないと実行時に警告は出ますが、とりあえずどれか1つあれば計算は可能なので、無視して先に進むことが出来ます。

 
 


使用するキャリブレーション用ファイルを指定したら、次に左上Lightsのタグを選んで処理内容を決めていきます。

上から順に指定していきましょう。

まずCosmeticCorrectionです。これは画像内のHot/Coldピクセルを緩和する作業です。

行う場合にはApplyをチェックして、Template iconを指定します。これはCosmeticCorrectionを行うための情報のシンボルとなるiconで、ProcessのImageCalibrationにあるCosmeticCorrectionで作成したインスタンス意味しています。この辺がPixinsightの取っ付き難い部分です。CCを予め処理する画像で調整して、そのデータをBPPに入力するという作業を、iconの受け渡しで行っているだけなのですが、こんな方法はあまり馴染みが無いですね。

BPPでの演算についてはダーク減算後にFitsファイルとして保存した後にCCを実行する順序になっているのでデジタル一眼でも問題なくCCは動作します。インスタンスを作る時に、CCはRAWファイルに対応していないため、CCにRAW画像を取り込むことが出来ないので戸惑うかもしれませんが、実際のインスタンス作製手順ではRAWファイルをCCに直接読み込む必要はありませんから、問題なくIconを作製する事ができます。

Icon(インスタンス)の作製は、まずRAWファイルをベイヤーのままPIで開き(Debayerされてしまう場合はFormatExplorerのDSLR_RAWをダブルクリックしてno-de-Bayeringを選択します)、これにダーク・フラット補正を行った上で、この画像全体あるいはPreviewに対してCCのReal Time Previewを行って、変数を調整すればよいのです。厳密にダーク減算の取り残しを除去したのであれば、まずBPPのCalibrateOnlyをチェックしてダーク・フラット補正を行ったファイルを作成し、これをPIに読み込むという方法もあります。

*デジタル一眼ではそもそも14bitデータなので果たしてHot/Coldピクセルが存在するかと言う疑問もありますが、現実的には邪魔な原色にに近いノイズを除去できるので効果はあります。

数値の設定が終ったら、CCのwindow左下の△マークを外にドラッグ・ドロップするとIconが出現します。これをBPPのCosmeticCorrrectionのTemplate iconで指定すれば完了です。

CCでの調整を細かく書き出すと切が無くて、話がそれてしまうので、それは別の機会にします。
 
 
次はDebayerです。右側のCFAimagesにチェックを入れると、この欄が使用可能になります。素子のパターンは機種によって異なるので自分のCCDのカラーフィルターパタンを選択します。DeBayerMethodはVNGで問題ないと思います。BayerDrizzleを行う場合はこれをチェックします。ImageRegistrationのDrizazleをチェックしないとBayerDrizzleはアクティブになりません。

 
次はImageRegistrationです。

画像のアライメント(位置合わせ)を行うのですが、補間方法の選択などある程度調整可能です。特にこだわらない場合、BPPのImageRegistrationで問題ないと思います。細かく調整する必要が有る場合は、StarAlignmentProcessを使う必要があります。

Drizzleを行う場合には、ここにチェックを入れます。BayerDrizzleを使う場合も、まずImageRegistrationでDrizzleにチェックを入れます。
 
 
次はImageIntegrationです。

ここもノイズ評価などを細かく指定する場合はImageIntegrationProcessを使用する事が出来ます。

たとえばImageRegistrationまでをBPPで行い、次のIntegrationを手動でProcessを使いたいような場合、一旦BPPを最後まで実行するとImageRegistrationまで行ったファイルが保存されているので、ここから手動で行う事が可能です。

   
  後は右側のチェックボックスを確認します。

CFA images:はカラーCCDなど、ベイヤー配列データを処理するときにチェックします。

Optimize dark frames:はダークフレームを撮影した画像に最適化する時にチェックします。詳細?は前述の通りです。

Use master・・・:は、既に計算されたmaster fileを使用する場合にチェックします。ここをチェックする場合、利用する全ての種類(たとえばL,R,G,Bの各フラットとか)がmaster fileでなければなりません。
 
Generate rejection map:興味がある場合はチェックします。 
 
Registration Reference Imageには画像をアライメントする基準となる画像を選択します。たぶん最も星像が良好な画像を選択すべきだと思われますが、違いを確かめたわけではありません。

Output Directoryは出力するディレクトリーです。ここにmaster, calibrated, Registeredの3つのディレクトリーが作られ、それぞれに処理過程のファイルが全て保存される事になります。
 
 
全部セットが終ったらDiagnosticsボタンを押すとファイルの不備とかを警告してくれます。
Biasなどが36枚、L16枚、RGB各3枚程度の1800万画素程度のデータで、i7のCoreなら15分程度でしょうか。画素数によっては膨大な時間を要する場合もあるので、しっかり確認しておきましょう。

ただ実際に演算を開始してからでも比較的停止ボタンは反応が良いので、 あまり心配する事もありません。
 
 
masterフォルダーにLight・・・という名前で保存されているファイルが全ての処理を終えた画像です。DarkやFlatのmasterもここに保存されます。

Drizzleを行う場合はここで生成されたmaster画像は使いません。BPPが終了した時点で、Registeredの中に保存されているファイルを使って、Integrationを行い、その結果を使って更にDrizzleIntegrationを行う事になりますので注意が必要です。これについては後日追記します。

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