FS128改


BorgEDレデューサF4DGをFS128に装着するとF5.2になります。最新の明るい鏡筒には及びませんが、試さずにはいられません。

今年の初めにBorgEDレデューサF4DGをFS128で使うために三ツ星からパーツを購入していたのですが、77EDUばかり使っていて、125SDが発売される今頃になって漸くFS128 F5.2の登場となりました。125SDはF3.9で3.5kgと魅力的だったのですが、性能と値段を天秤にかけたら、ちょっと物欲に陰りが・・・。明るい大口径屈折は復活が噂されるF2.8の登場を待つことになりそうです(これも高そうだな)。

F4DGは77EDUと組み合わせると、ものすごく良いのですが、大口径と組み合わせた場合、周辺減光(中央集光)が目立つようで、あまり評判が良くありません。F4DGの前玉が小さいためと、言われていますが、鏡筒を工夫した場合どの程度改善するのか、おあつらえ向きの誠報社中判撮影用鏡筒(CATで9980円、安いけど・・・)を使ってフラット画像を比較してみました。この実験に1万以上つぎ込むなんてバカみたいですが、やった甲斐はありました。

この実験はなかなか面白いので、手持ちの他の鏡筒0.66レデューサDGTでも試してみました。

すでにタイトルのFS128とは全く別の内容になっていますが、77EDUの画像比較です。

さすがに脱線はここまでにしようと思いますが、LPS-V3の光害による色ムラについて実験しました。

2007.12.26

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昔、FS128で中判カメラを使うのがはやった時代、周辺減光を防ぐために誠報社さんが絞り環が全く入っていない鏡筒を作っていたようです。鏡筒の長さはオリジナルと同じで、後方にはBorg115ファインダーアダプターがついていますから2インチヘリコイドが直に取り付けられます。古いけど新品9980円は相当お買い得ですが、今更買う人は私くらいでしょうね・・・CATさんありがとう。手前がオリジナル鏡筒でセルとフードがついているのが中判撮影用鏡筒です。
ノーマル鏡筒の中の様子です。

さすがタカハシ製で、絞り環の加工、取り付け、塗装、どれをとっても文句の付けようがありません。突き詰めるとタカハシを選ぶ人が多いわけです。この絞り環はどう見ても眼視性能重視の形態で、撮影向きではありません。まして6*7では周辺部は何も写らないでしょう。
フラット画像の撮影には、最近ネットで紹介されているパソコンの液晶画面を撮影する方法を用いました。実験なので、白(255,255,255)です。カメラはEOSkissDX(SeoSP2)にLPS-V3FFを装着した状態で使用しました。フードと液晶をぴったり付けて部屋を暗くした状態で撮影し、露出時間はオートの適正が2秒だったので、0.5秒、1.0秒、2.0秒の3通りを試しました。RAWで撮影し、RAPで各露出時間ごとに同一条件で現像しました。その後、ステライメージでソフトビニングしてあります。
左がノーマル鏡筒、右が絞り環の無い中判鏡筒です。
まず左右で色調と明るさが異なることが分かります。ASPサイズの一眼デジカメの画角でこれほど大きな相違があるとは予想していなかったので、ビックリしました。色調の差は、液晶画面の色が変わっているとは考えにくいので、入射光の角度が変化することでLPS-V3の作用が変化したため、と推察しました(本当は追加実験しないといけませんね)。この種のフィルターは入射角が90度から離れるほど効果が減少するようなので、ひょっとするとノーマル鏡筒の方がV3の効果は、はっきり現れるのではないでしょうか。
左はステライメージ(Ver.4)の周辺減光のウィンドウです。
ノーマル鏡筒は撮影画面の中央部からなだらかな周辺減光を起こしていることが分かります。それに対して中判鏡筒では中央付近はほとんど周辺減光認めず直径20mm位まではフラットな光量が得られていることが分かります。ただしその周囲は急激に減光が生じています。これが指摘されているF4DGの前玉の直径が小さいことに由来する減光ということになるのかも知れません。

実際に撮影してみないと今回の結果が、どういう意味なのを評価するのは困難ですが、私の頭で考える限りでは、中判鏡筒を使った方が良い結果が得られそうな気がします。早く試してみたいところですが、新潟の週間予報に、お日様マークはありません。

とりあえず今晩はミラーボックスによるけられについて、KissDXとミラーボックスの大きなNikonD50で比較してみようと思います。

お天気が悪いので、引き続き・・・。

ノーフィルター比較(EOSkissDX)

前の実験で、LPS-V3の影響が大きい事が分かったので、FFフィルターを外してノーマル鏡筒と中判鏡筒を比較しました。基本的な周辺減光の傾向はフィルターを付けた場合と同様で中判鏡筒の方が平坦な画像を得ることが出来きました。鏡筒による色調の相違はV3の影響で、明るさは若干鏡筒の影響もあるようですが、V3装着時のような顕著な差はありませんでした。これで安心してカメラの比較が始められます。
鏡筒別、フラット画像比較

D50とDXで鏡筒の影響を比較しました。まず撮影した画像のコントラストを強調して比較してみました。他の条件はなるべく同じになるように処理したのですが、カメラが異なるので無理な部分もありました(まあだいたいと言うことで・・・)。4つの画像を比較すると右下の画像が最も均一で周辺減光が少なくなっています。予想ではミラーボックスが大きなD50で周辺減光が少なくなると予想したのですが、DX中判鏡筒の方が周辺減光が少ない、と言うことになりました。
中判鏡筒 D50 vs DX

中判鏡筒ではD50とDXの周辺減光がどの程度になるのか、ステライメージで比較しました。DXが非常に平坦な曲線となっていますが、D50は周辺減光が大きいだけでなく、やや縦長の等光度曲線となっています。予想とは逆の結果ですが、F4DGを使う場合に限っては、EOSkissDXの方が周辺減光は少なくなるようです。
ノーマル鏡筒 D50 vs DX

必要ないのですが、一応ノーマル鏡筒で2つのカメラを比較しました。なぜミラーボックスの小さなDXで周辺減光が少なくなるのか理由は分からないです。遮光絞り環がある場合、ひょっとするとフルサイズの一眼デジカメの周辺減光は相当大きくなるのでは?と思われます。
作例は晴れたら撮影 まとめ

今回FS128にEDレデューサF4DGを使う場合、周辺減光を最も少なくする組み合わせを検討した。その結果、
1,鏡筒は絞り環の無い中判用鏡筒が適している事が分かりました。
2,APSサイズでは、EOSkissDXがNikonD50より良好な結果となることが分かりました。
3,LPS-V3はノーマル鏡筒と中判鏡筒で大きく作用が異なる事が明らかになりましたが、実際の画像にどのような影響を及ぼすのかは、予想できません。

天気が悪い新潟でなければ、この時期こんな事しないと思います・・・

EDレデューサF4DGと鏡筒の相性について

このレデューサは使う鏡筒によって周辺減光が問題になると言われています。
今回FS128の鏡筒を中判用に変更することで、周辺減光を減弱することが出来たので、ついてに手持ちの鏡筒の周辺減光も調べてみました。

(左)このレデューサとの相性がよい77EDU
(中)三ツ星製115mm鏡筒絞り環無しのVixenED102SS
(右)誠報社製中判鏡筒のFS128

以上の3本について、EOSkissDXで撮影しました。画像の明るさは正確?にそろえてあります。
(R:G:B=146:146:146)になるようにRAPで現像したのですが、ED102SSのGが2大きかったです。影響はないと思いますがちょっと緑ですね・・・。
画像を見てもあまり違いがないのでステライメージの周辺減光のwindowで比較してみました。若干口径が大きき方が周辺減光も大きくなっているような感じですが、大きな差は認めません。実際に撮影してみないと何とも言えませんが、この実験方法では、レデューサの前玉が小さいことに因る対物レンズ口径増加に伴う周辺減光は確認できませんでした。

一連の実験をまとめると、DEレデューサF4DGの周辺減光はレンズの口径だけに因るのではなく、鏡筒の太さ、絞り環の有無、使用するカメラのミラーボックスなどの影響も大きな要因になっていることを示唆していると思います。特に大きなミラーボックスのNikonD50の方が影響が大きかった事は意外でした。

ここまでやったら、いよいよ125SDで試してみたくなりました。Borgのサイトに出ている周辺減光率は115mm鏡筒で測定した物なんでしょうかね?できれば鏡筒をFS128クラスの物にしてみたいですね。

最後に、この周辺減光の図は他の実験と比較する事はできないと思います。あくまでも組み合わせの中で判断して下さい。

胎内はうっすらと雪化粧です。そんなわけで、0.66レデューサDGTのテストです。


EOSkissDX


Nikon D50
レデューサDGTが対応している3つの鏡筒について周辺減光を調べました。

FS128などと同じように、EOSkissDXの方が周辺減光が少なくなりました。特に45EDUではF4DG+77EDUと同程度のようなので、おそらく実写ではフラット補正がいらないくらいでしょう。DGT+77EDは周辺減光が大きいのであまり推奨されていないようですが、EOSを使う場合は対角74%程度なので、何とか補正できるレベルだと思います(77EDU+F4DGは91%以上です)。

それにしてもnikonD50の周辺減光は、30年近くnikonを愛用してきた私には納得がいかない結果です。ということで、この結果はあくまでも私のD50改造機のものであり、他の個体ではどのような結果になるか見当が付きませんので、ご了承下さい。とりあえず私はkissDXを使って撮影しますが・・・。

新型D300はノイズが少ないようなので、天体向きだと思いますが、周辺減光の傾向はどうでしょうか?
ついでに、Nikonレンズを使った場合はどうなるでしょう。

AiS180 F2.8は35mmフィルムで撮影すると周辺減光が気になり、F4に絞る場合が多かったです。
D50ではピントが後一歩で合わないので信頼性は今一つですが、やはりDXの周辺減光が小さくなりました。しかし望遠鏡にDXを使用した場合の周辺減光の特徴だった台形ではなく、△型です。

周辺減光は奥が深いですね。そもそも、この実験方法は根本的に意味があるのでしょうか?何となくうさんくさい気もしますが、違いが出てしまうのでやめられません。春までパソコン画面撮影して過ごすのでしょうかね・・・。
原因は何なのか?

私は光路図とかは詳しくないのですが、思いつく原因としてマウント内径の違いがあります。Borgのマウントアダプタ5003と5005では6mmほどEOSの方が大きくなっています。これはnikonのマウントがEOSより小さいので仕方のないことです。そこでEOSKissDXをnikonマウントにEOS用マウント変換アダプタを付けて試してみました。これでマウントアダプタ内径の違いがどの程度影響するかを試すことが出来ます。

影響は僅かにあるようですが、他にもっと大きな原因があるようです。ちなみにnikonマウントのS2ProはD50とDXの中間くらいで、上のマウントアダプタ変更時と似ています。ミラーボックス内を眺めてみたりいろいろ考えましたが、今のところ分かりません。ひょっとするとCCDの特性で、実写には影響無いモノかも知れませんが、とりあえず、まとめとして、

Borg新型 0.66レデューサDGTは、
1,miniBorg45EDUで最も周辺減光が小さく対角平均86%、60EDでも82%の光量がある。
2,NikonD50とEOSkissDXでは、周辺減光に違いが認められた。
3,77EDUの周辺減光はF4DGより大きいが、EOSkissDXでは補正可能な範囲と思われる。

今年は例年にまし曇りの日が多いような気がします。いい加減嫌になりましたが・・・。

NikonD50とEOSkissDXの写りの違い?

パソコン画面を撮影するとD50の周辺減光が大きいという結果になってしまいます。実は、実際の撮影でもちょっとそんな風に感じていた画像があることを思い出したので公開します。どちらも77EDU+F4DGで撮影した、フラット補正前の画像で、4角の明るさをだいたい同じ程度にしてあります。M33はD50+LPS-P2でISO800露出20分、IC410はKissDX+LPS-V3でISO1600露出15分です。明らかにM33は周辺減光が目立ちますが、ISOを換算すると露出はIC410の方が多いです。撮影したときは、空の状態が違うので、あまり気にせず、77EDUでもフラット補正が必要になることもあるのだと思っていました。

やはりD50は周辺減光が出やすいカメラということになるのでしょうか?

とうとう撮影できずに12月が終わってしまいそうです。
このページの最後に、最近気になっているLPS-V3の光害による色ムラについて実験してみました。

上から90,80,70,60度
LPS-V3の特性

LPS-P2は光害カットフィルターですが、V3は光害がある撮影環境だと画像処理が難しい色ムラが生じてしまいます。V3は光害の少ない空で使用すると素晴らしい効果を発揮するので、ついつい光害地で使いたくなりますが、背景の色ムラ処理はなかなか難しいようです。

これまでの実験と同じように白色のパソコン画面を撮影しました。カメラはEOSkissDX、フィルター位置は再現性の良いLPS-V3FFとしました。鏡筒はminiBorg60ED+0.66レデューサDGT、パソコン画面に対して鏡筒が90度、80度、70度、60度、画面からの距離はレンズの中心から画面までの距離が同じになるようにしました(約10cm)

前の実験では鏡筒を換えることで撮影された画面の色が異なりましたが、今回は画面の角度によって色が異なります。理由を考えるためにはフィルターの特性や光路を理解しなければなりませんから、ちょっと無理そうです。今回はとりあえず現象だけを並べてみました。
色と明るさは、90度から傾くほど赤く、暗くなっていきます。明るさについてはステライメージの周辺減光のウィンドウで評価してみました。画像の向かって左側がレンズの画面に近い側となります(逆さまになるので左が画面から遠い側のレンズから入った光になるのでしょうか?)。問題はレンズに対して浅い角度で入る光害など、星以外の光(星の光は無限遠の光源なのでレンズに直角に入ってくるはず)は、CMOS面に均等に入らないということです。更に角度が変われば同じ光源でも強さが変化してしまいます。光害地ガイド撮影で鏡筒の角度が変化すると、それにつれて偏った方向から入る光害は常に強さを変えながらCMOS面に降り注ぐことになります。こんな光を一般的なフラット画像で補正できるはずがないと思います。

フィルター無しの実験もしてみたいと思いますが、この次が本命なので、明るさの傾斜がどの程度フィルターの影響を受けているのかは、ここでは良いことにしてしまいます。
最もやっかいな問題

70度に鏡筒を傾けた場合の画像をRGB分解して、LPS-V3の傾向をみると、GBはどちらも右下がりに傾いていますが、R画像はあまり傾斜していません。これは赤い光が緑・青よりも鏡筒傾斜の影響を受けずにV3を通過してしまうことを意味しています。そのため赤に関しては普通のフラット補正で概ね除去できてしまいますが、緑と青は普通のフラット画像では画面の一部に色が残ってしまうことが予想されます。これは実際に画像の片側に残る青い色ムラを説明するのに無理がない現象だと思います。さらに実際の撮影では鏡筒は動いているので、光害の光源から生ずる色ムラは、コンポジットする1枚ごとに少しずつ、ずれて発生してしまうことになります。

この色ムラ対策として思いつくのは
1,光害の無い撮影地でV3を使う。
2,実際撮影した画像から撮影対象と星を消したフラット画像を作る(私はこの方法を使っています)。
3,夜間、撮影時間と同じ方向でガイドしながら、同じ時間露光して、色ムラ用のフラット画像を作る。
このとき星が写らないようにしなければなりません。その方法としては、対物レンズの前や光路にトレーシングペーパーなどを置くよりはピントをずらした方が良いような気もしますが、試したことがないので分かりません・・・。ピントをずらすと光路長が変わるからダメでしょうか?)

意外と充分に長いフードをつけると効果があるかも知れないですね(やったことありませんが・・・)。
ただし、90度と80度の画像で生じた色の差は結構大きいですから(とは言っても、そのままでは真っ黒なのでものすごく強調してあります)、かなり長いフードが必要です。
*この画像でも青と緑が残っているので、赤が90度と80度でほぼ同じであったことが分かります。

ついでに、
実際使っていると、光害カットフィルタLPS-P2でも、この現象は起きてしまいますがV3ほどではないですし、光害カットの恩恵はこの副作用よりはるかに大きいです。

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